牧志公設市場よりも、その周りの商店のほうが興味深い。
辛さよりも香りが立つ島唐辛子はタイ料理に合いそうで、買って帰りたいと思っていた。
季節外れで、やっと売っているのを見つけたが、値段もちょっと高い。
まあ買うけど。
沖縄の経済は女性が回しているのではないだろうか。
老いも若きも女性がきびきびと働いている。
男性はその横で、ぼんやりと愛想を振りまく。
出汁の基本はとにかく鰹節。
削る前のまるごとが積み上がっている。
スーパーの鰹節スペースも関東より遥かに広い。
脇道にも店が並んでいる。
たまたま通りかかってそそられたカツキッチンは、ポークたまごおにぎりの店。
2人で1つ買って、食べてみよう。
高菜やツナマヨ、昆布などのトッピングが選べる基本のポークたまごおにぎりは200円。
自家製油味噌にする。
イートインできるカウンターがあるが、持ち帰りで。
店の前でたまらずに頬張る。
注文を受けてから作ってくれ、ほかほかのご飯に海苔の香り。
スパムの塩気とやわらかな卵、甘い油味噌。
いいねえいいねえ。
曲がったところにある喫茶店兼惣菜屋に行列ができている。
沖縄のお惣菜が並んでいて、揚げ物は横で揚げたばかりのものが随時補充されている。
もちろん、列に加わる。
奥の厨房でお母さんたちがせっせと料理をしているのを見て、ますますそそられる。
みんな何品も買っていて、値段を聞くと安い。
前に並んでいた親切なマダムが、冬至ジューシーを仏壇に備える風習があるのだと教えてくれた。
この日は冬至だったから、家で作らない人は美味しい店で買うのだそうだ。
並んでいる料理の説明もしてくれ、オススメもしてくれる。
沖縄の人は人懐っこくて親切だな。
急ぐことがないから、心に余裕があるのだろう。
さあ我々の番というところで、後ろの婆さんが「さつま揚げ買うの?」と聞いてきた。
残り僅かなさつま揚げをどうしても買いたい様子。
買わないと言っているのに、勢い余って「さつま揚げ2つ!」と注文している。
まだだから。
お店の人にいなされるも、焦りは隠せない。
さすがの沖縄県民も、食欲の前には余裕がなくなるのか。
片っ端から食べてみたい衝動に駆られるが、マダムのオススメに従いながら厳選。
食べてみたかった沖縄のかまぼこを1つ。
揚げ物は信用できる店で買いたいからね。
シナチクのような風味の筍の炒めもの、スンシーイリチーを小さいパックで。
干し椎茸や白いこんにゃく、細切り昆布、薄いかまぼこなど。
もっちもちな田芋のドゥルワカシーも。
グリンピースやスンシーなど、具だくさん。
出汁は豚かな。
生活雑貨の店に寄りつつホテルへ。
さっき買ったお惣菜を食べよう。
備え付けの茶碗で缶ビール。
かまぼこはお赤飯入り。
関東とは違う赤さは、豆が違うからだろうか?
どれも作りこんだ家庭の味で、美味しい。
情報は検索でいくらでも入るけれど、たまたま良い店を見つけた時の喜びは代えがたい。