この日をどんなに待ちわびたことか。
再オープンしたロオジエに、常連のご夫婦の引率で。
噂のL'OSIER皿。
と、写真はNGでした。
確かに、新しい造りでは他のお客さんが写ってしまう危険がある。
その時、「厨房でお撮りしましょうか?」という提案に、乗らずにはいられなかった自分の浅ましさが恥ずかしい。
お手間でしょうに。
カメラをサービスの方に預けて、お願いしてしまった。
料理もワインもお任せで。
アグラパールのシャンパンをいただきつつ、シェフが以前にいらっしゃったピエール・ガニェールを彷彿とさせるアミューズ・ブーシュ。
和を感じるカラスミにサーモンフュメ。
生ハムの小片やソバの実などを散らしたパプリカクリームの下はマカロン。
フォアグラとジュレ。
薄くハリっとした栗の生地の中にフロマージュブランクリーム(?)、黒トリュフの蓋。
甘さの活かし方が印象深い。
そして、こんなに小さいのに、口の中で変化する。
マッシュルームのスープだったか。
記憶が欠落している。
オマール、パッションフルーツのソースにコライユとごま油の赤いソースの点。
ライムが香る。
毛蟹とカブ、柚子。
真中は柚子の泡をゼラチンで固めたもの。
蕪のピュレとアボカドのピュレ。
パートブリックの中もアボカドピュレ。
ワインはアルフォンス・メロのサンセール、エドモン。
テーブルでアルバ産白トリュフをたっぷりとすりおろしてサーブされたリゾット。
ホタテのソテーと。
完璧なアルデンテのリゾットと、絶妙な火入れのホタテ。
ロオジエのようなレストランでは当たり前か。
リュシアン・クロシェのサンセール、ヴァンダンジュ・デュ・19・オクトーブル 2002の奥深さと余韻の長さに、サンセールを見直した。
ハタのシャンパンソース。上にはイカも。
ソースの旨味の濃さと複雑さ。
ああ、ロオジエで食事をしているのだなあ。
この日、最も心に沁みた料理。
さらに、合わせられたワイン、ギガルのコンドリュー、ラ・ドリアーヌ 2008に恍惚となる。
濃縮した花の香りがいつまでも。
メインは仔牛。
人工でなく、本当に母牛から乳を飲ませただけの仔牛。
フランスでも1軒だけしかやっておらず、入手困難だとか。
なめらかで密。
今まで味わったことのない仔牛の歯触りに度肝を抜かれた。
これが仔牛か。
部位違いで。
繊細だが、舌の深くまで染み込むような旨味は、しばらくそこに留まる。
肌理の細かいローヌ、シャトー・ド・フォンサレットの、コート・デュ・ローヌ・レゼルヴ 2002と。
デザートの前に、フロマージュブランのソルベ、パイナップルとグレープフルーツのジュレだったか。
メニューから選んだデザートは、イチゴのサヴァラン。
他の方々は、モンブランや、
チョコレートのドーム、
柑橘類の飴細工の中に、同じく柑橘類のソルベやクリームの入ったもの。
飴細工、苦手なんだよなあ。
チーズは長期熟成のコンテ、トム、モンドール、シェーブルを。
以前、コンテの美味しさを教えてくれたのはロオジエだった。
時間がないのもあり、ワゴンのプティ・フールはパスして早退。
いただいたワインたち。
地下になったとはいえ、吹き抜けなので、閉塞感など皆無。
外のツリーの赤い灯りが見えるのがうれしかった。
やはりロオジエはロオジエだ。
料理もワインもサービスも、店内装飾も、細部に至るまで練られていて、感動的ですらある。
新たな場所を得て間もないのに、安定感があり、ずっとそうであったかのよう。
このクラスのレストランは本当に全てが最高なのだということを、思い出させてくれた。
そこに新たなシェフがぴったりとハマっている。
ご一緒させてくださった方々に心からの御礼を申し上げます。