久しぶりに三ツ星に行ってみるかなと思っていたところ、たまたまこの店について書かれたブログを読んだ。
そういえば、ヤニック・アレノさんの料理は約10年前のル・ムーリスでいただいたきり。
まだ三ツ星を取る前だった。
なんだか濃い料理だなあと思った記憶。
それほど好みというのではなかったけれど、これだけ長きにわたって人気のあるシェフなのだから、改めて味わってみるべきかもしれない。
元ルドワイヤンのアレノ・パリ。
内装はそのままなのかな?クラシックで落ち着く。
時を経た空間ならではの美しさ。
13:00過ぎには、ほぼ満席。
昼ということもあり、年配の男性が多い。
予約はネットで簡単にできた。
仕事の関係でワインを控えたいのだが、シャンパンくらいならイイよね。
ランチのムニュは135.00ユーロ。
黒トリュフムニュもあったが、そこまではいらない。
アミューズ・ブーシュはオニオン・グラタン・スープの新解釈など。
チップスにソテーしたオニオンをのせてトロけたチーズで覆い、小さなカップに入れたブイヨンの上に載せてある。
言われなくてもオニオン・グラタン・スープだとわかるが、軽くモダンだ。
軽くてシュワっと溶ける栗のギモーブや、
苦味が鍵のゼリー。
敷いてある葉が材料なのだろうか?
イベリコ豚の生ハム、イベリコ豚生ハムのジュレ、醗酵ライ麦パンのクリーム、黒いのはカラマタ・オリーブ。
濃いなあ。
ムーリスの料理を思い出す。
でも口飽きる濃さでなく、酸味を上手く使っている。
ホタテのヴィロフレースタイル。
かろうじて火を通したホタテ、ほうれん草のスープ、ほうれん草と黒トリュフ。
黒トリュフの贅沢なごっそりさが三ツ星か。
ほうれん草の甘苦い風味が、ホタテと不思議に相性が良い。
ウズラのオルトラン風、バベットの晩餐会パイ包み。
パリでパイ包みを食べると、ジュワっと染み出すバターの良質さと贅沢さに高揚する。
中にはたっぷりのジューシーな茸とレバーのソテー、底にいるトマトソースが食後感を爽やかにする。
ソースも芳醇。
やはりフランス料理にはソースがあって欲しい自分には、嬉しい料理だった。
アヴァン・デセール。
チョコレートのジュース、パイナップルのコンフィ、洋梨のソルベなど。
フレッシュなフルーツを思わせるチョコレートのジュース。
デザートには火がついたカルバドスをかけて。
なめらかなメレンゲ、サクサクの生地、柔らかい焼きリンゴ、冷たいソルベ。
モダンノルヴェージャンスタイルのリンゴのシャルロット。
歯ごたえや温度の異なるものを同時に口に入れる楽しさ。
昼にこのくらいのボリュームのコースをワイン1杯くらいでいただくのは、身体にも優しく、丁寧に味わえる。
お茶菓子のフランの美味しさに目を見張った。
カスタードのようでいて、くっきりと鋭角。
お得感があるコースだ。
北欧っぽいアレンジの軽い料理がもてはやされていて、どこに行ってもビオワインで、なんだかつまらないなあと思っていたから、王道を外れずに新解釈を加えている料理が心地よかった。
またぜひ行きたいかというと、なぜかそれは思わないのだけど、素直に美味しいと感じた。
やはり時々はこういうクラスのレストランで食事ができるよう、諸々調整しようという気になる。
老舗にありがちなことで、古い建物だけにトイレが狭く寒いのが残念。