スローフード協会が主宰しているメルカート・デッラ・テッラは、近隣の食文化や小規模生産者を守るためのマーケット。
ミラノのFabbrica del Vapoleで月2回、第1と第3土曜日の9:00~14:00に開催されている。
朝の薄暗い中で駆けつけてみると、すでに多くの人が集っている。
野菜やパンを売るブースは、行列ができていた。
こんな見るからに健康で味の濃い野菜たちが買えるなら、行列もするだろう。
チーズのブースも色々。
それぞれの生産者が説明をしながら丁寧に販売している。
フォルマイ・デ・ムットというセミハードチーズとストラッキーノを買う。
並びのチーズ屋は、Vallenostraというアグリツーリズモも行っている農園。
自然の山に放牧されて育った羊や牛、山羊のミルクからチーズを作っているのだそう。
Monteboreと牛のチーズを買う。
もっとチーズの知識があったら、より楽しめるに違いない。
隣はプロシュットやサラーメのブース。
旨味がより濃いというサラーメ1本と、モルタデッラ・ディ・フェーガトを買う。
肝臓のモルタデッラは初めて。
1時間くらい茹でてからスライスして、ポレンタやポテトピュレと一緒に食べるのだそうだ。
味見をさせてくれたが、血と肉の風味が混ざり合い、程よいクセがある。
サルシッチャたちはプロシュットの残りの部分で作るのだと説明してくれた。
水牛のモッツァレッラのブースもある。
頑固そうな親子が売っている。
今回の宿はアパートの短期貸しで、キッチンがある。
部屋での夕飯用に買っていこう。
チーズやソーセージをもう少し買いたい。
味見をして、牛乳のハードタイプの熟成したチーズと、
山羊の肉のサラーミを購入。
山羊の肉とはいえ、熟成しているから独特な匂いはほとんどない。
あ、ポルケッタだ。
その場で切り分けてくれるので、部屋飯用に買う。
隣のブースでは温かいスープを売っていたり、米や豆、蜂蜜のブースもある。
行列が絶えなかったパンのブース。
パンブースは他にもあったけど、ここが一番人気。
フルーツがごっそりと入ったものや、ピッツァ、
座布団のような大きな田舎パンなど、どれも美味しそうだ。
とはいえ、1人では十分な量を買えないから、あきらめる。
ワインのブースもいくつかあった。
中からラベルに惹かれたところで話を聞く。
Andi Faustoという作り手で、ビオダイナミックで葡萄を栽培している。
ラベルは障害のある人達が1本1本ペイントしているのだそうだ。
希少品種の葡萄の保護にも務めていて、それらをミックスしたワインを買った。
ちょっと買いすぎたかもしれない。
パリのマーケットと比べるとどれも安く感じられて、うっかり買い漁ってしまった。
夜はやることもあり、部屋での食事。
メルカート・デッラ・テッラで買ったモッツァレラとポルケッタとワイン、近所の八百屋で買ったルーコラとレモン。
シナモンが効いたポルケッタ。
肉自体の旨味は濃いけれど、やっぱりポルケッタはパリパリの皮とジューシィな肉とのコントラストがないと美味しさ半減だ。
ウンブリアで焼きたてのを食べた感動には、遠く及ばない。
モッツァレッラも、やはりこれはナポリ近郊で出来たてを食べるべきだなあと。
野性的とも言えるほど、ミルクの濃い風味はあるが、硬くなってしまっていた。
これなら料理に使って、火を通したほうがより美味しいだろう。
ビオビオしい馬草臭と果実味がぐっと迫ってくる赤ワイン。
しばらくすると、ローズマリーが香る。
エストロ 2010。
力強いワインだ。
日本では流通していないようなワインに出会えるのが嬉しい。