新橋の星野。
何度来ても、毎回その進化に感動する。
コノワタの飯蒸し。
柿なます。
今年は松茸が早く、国産は終わってしまったそう。
これは中国産。とはいえ、香りは十分。
ホウレンソウと。
麒麟山大吟醸紅葉長期熟成。
1度に3組入れられるようになり、日本酒もその時々で種類がいくつか入るようになった。
煮含めた温かい茄子、冷たいウニ、その間に京風の上品な田楽味噌。
温度や風味の違うものを一口で頬張る。
しっかりとしめた小肌。
小肌自体の風味が濃く、酢と渡り合う。
京味で、いつか自分でもやりたいと思っていた料理だそう。
修行中の人が慣れてきて、やっと出せるようになったと。
すだちわさび醤油を絡めたぐじは、裏ごししたフワッフワの栗をまぶしていただく。
粉雪のように繊細で、そして甘い栗の後に、すだちの酸味と醤油、さらに脂ののったぐじが畳み掛けてくる。
甘味、酸味、塩味、濃さ、軽さのバランス。
こちらでよくいただく加賀藩。
鱧、韓国産の松茸、水菜。
一口いただいて、あ、去年とは違うなと思った。
以前にいただいたよりも出汁に力がある。
その分、塩を控えているのだそう。
同じ料理でも去年とは違う。それを味わえるのが嬉しい。
ぐじの八幡巻き。
湯葉、渡り蟹、銀杏、国産の松茸の芯、ゆずの皮、出汁。
蟹も銀杏も松茸も、濃い香りと個性が鼻や口に押し寄せる。
それぞれに引き立て合いつつ盛り上げる。
お馴染みで確実なお食事。
最初の頃より、今の時雨煮のほうが脂が軽やかで好みだ。
お代わりをしていたらおかずがなくなり、最後は鰹節ご飯。
透けて見えるほどひらひらと薄い鰹節とわさびと醤油。
わらび餅。
食事中にふと気が付くと、微笑んでいた。口角が上がりっぱなし。
これからも、季節の味覚をこちらで味わっていきたいと思う。
若くてひょうひょうとして、当たり前のように志が高い。
着実に積み重ねている。
京味さんで本当に修行をした人なんだなと感じる。身に着くとは、こういうことかと。