夜のサンマルタン運河。
この辺りはレストランやバーが多くて、ずいぶんと活気がある。
ニューオープンな店を試すということで、昨年秋開店のHai Kai。
運河に面している。
俳諧が元になっている名前だそうだが、日本食アレンジではないらしい。
イマドキっぽいテイストミックスな店内。
サービスは全て女性。
厨房もメインのシェフは女性のようだ。
グラスのシャンパンはコント・ユーグ・ド・ラ・ブルドネ。
メニューを見ると、メインにはジビエなどそそられるものがあるのだが、前菜がブッラータやイタリアシャルキュトリー盛り合わせで、何もパリで食べなくてもという内容。
サービスの人も「初めての人の90%はデグスタシオンメニューにするわよ」と薦めるので、それに従う。
お通しは、キヌアチップスにタラモ。
ワインのオススメを聞くと、薦めてくれるのはリストの中で最も安いレンジ。
そういう気遣いが、パリは徹底しているなと思う。
ミシェル・エ・ダヴィ・バイイのレ・ヴァロン 2013。
熱々のブリオッシュと共に出されたのは、コーヒーバター。
本当にコーヒーの風味で、苦手だった。
ほぐした蟹の身をまとめて揚げたような、蟹満載のコロッケと、柚子クリーム。
下はカリフラワー、上はマスタード。
イカのカルボナーラ仕立て。
温めた程度の細切りイカ、ハム、ディル、へリングの卵に、同じく温めた卵黄、そしてチーズ。
混ぜていただく。
このアイデアは、家でもマネるかな。
半生のタラには、アーティチョークサラダとネギの花。
パルメザンクリームとニョッキが添えられて。
牛肉の赤ワイン煮込みは、振り掛けられたクリスタルソルトが余計で、塩辛かった。
濃厚なのもあり、量が少ないのにぐったりする。
キャロットクリームとメレンゲ。
食べたかったジビエが入っていてよかった。
野鴨、焼きリンゴ、焼きトレビス。
湯呑み茶碗で出てきたのは、桜の花が香るクレームブリュレ。
気が付けば満席。
客層がお洒落だね。
混む前は料理がスムーズに出ていたのだが、最後のほうは飲みものが出なかったり、時間がかかったり。
隣の席の人々は混んでからの入店だったので、ワインや最初の料理が出てくるまでにずいぶんと待たされていた。
サービスの数が足りないわけではないだろうに。
洋梨のフリットに洋梨ソルベ、チョコレートソース。
揚げバナナのような感じで、けっこう好きだ。
店を出た時は、友達との楽しい夕食だったこともあって良い印象だったのだが、今思い返してみると、また食べたいと思うものがない。
左岸泊である限り、わざわざ行くことはないだろう。