今年の松茸は早いらしく、もう終わりかけだとか。
お盆明けに涼しくなった頃から出始めたから。
この日は岩手の良いのが入りましたとのこと。
是が非でも食べたいというのではないし、イメージに踊らされている感はあるが、いただくとやっぱり嬉しい。
とはいえ、こういう特別なものは然るべきところで食すもので、そうでなければ食べなくても良いと思う。
星野さんでは珍しい前菜。
「カツオや鱧を焼いた後に氷水に入れる料理人がいるけど、あれをやると味が出てしまうんですけどね、なんでやるんですかね?」と。
なるほど。
とても星野さんらしい椀だった。
ごく繊細な出汁で、素材の持ち味を活かす。
今、ここでいただく料理たちは、もう完全に星野さんのものだと思う。
京味出身であることを謳う必要がない。
金額的に、もっといかにも豪奢な料理やプレゼンテーションを望む人もいるだろうが、そういう人には向かない店だ。
星野さんは飄々としていて、客を盛り上げるタイプでもない。
当たり前のように施された卓越した技術や手間をじわりと味わう料理。
ご飯を3回もおかわりしてしまった。