オンフルールに泊まることにした最大の目的は、このレストランが良さそうだったから。
SaQuaNa。
サカナという名前は、洞爺湖のミッシェル・ブラスにいた経験のあるシェフだからだろう。
パリでは何かと肉を食べることが多いので、海のあるノルマンディに行くのであれば、魚料理に定評があるレストランに行きたいと思っていた。
後から聞いたところによると、スーシェフが日本人で、もう6年も働いているのだとのこと。
まずはグラスのシャンパンで乾杯。
ミッシェル・ジュネ。
アミューズ・ブーシェには海苔など和の素材が散りばめられているが、上手く馴染んでいる。
ワインはオススメの白を。
Domaine de MontcyのPlenitude 2011。
以前にも思ったし書いたが、フランスでオススメのボトルワインを尋ねた場合、値段を伝えなければ、一番低い価格帯のものを推してくれる。
上限を伝えても、それを下回る中でバリエーションをつける。
東京では、値段を伝えてもそれを超えたものをイチオシされることが多く、ちょっと疑問に思っている。
スペシャリテの1つだという、シェフの出身地方のクレープ。
周りはカリっとキャラメルのような甘苦さがあり、中がスフレのよう。
トリュフの香り。
瑞々しい鯛、ビーツとアーティチョークのチップス、ポレンタのクリーム、シトロンとパプリカ。
イズニーのサーモン。
どちらも火入れ加減が好み。生過ぎず、うっすらとまんべんなく火が通っている。
フロマージュ・ブランのソース、生のセップ、アサリ、ベルガモットの香りのノワゼット・バター。
香りの組み合わせにうっとり。
メインは鳩。
煎餅のようにパリパリしたもの、黒い人参、ヴォライユのクリーム、カカオ。
日本を発つ直前の鳩が素晴らしすぎて、これはちょっと筋っぽく感じてしまった。
ノルマンディーを車で旅すると、そこらじゅうで牛が気持ちよさそうに放牧されているのを目にする。
ああやって育てられた牛のミルクから作られるチーズは美味しかろう。
期待以上で、満腹になってしまったという友達の分まで喜んで頂戴する。
赤をグラスで。
シャトー・ド・ラ・リキエールのTucade 2012。
イチジクとオレンジのタルト。
シブースト・クリームとソルベ。
噂に違わぬ完成された料理。
塩加減も火入れも組み合わせやポーションも、とても好みだ。
様々な歯ごたえを組み合わせてあるのも。
私たちがいただいた料理のコースは80ユーロで、お得だと感じた。
さらに3品多い120ユーロのコースもある。
旅先という贔屓目を抜きにしても、価値がある食事だった。