ノルマンディーのレストランを検索していた時、あるサイトで気になったのが、Au Souper Fin。
ルーアンから車で1時間くらいのところにあるFrichemesnilなる村にある。
友達に予約をしておいてもらった。
他に店というものが見当たらない、集落のような場所だが、ここは洒落ている。
そして、月曜日のランチだというのに、客がけっこう入っていた。
週末は予約が必要だろう。
スパイスの香るカボチャのスープや小さなパテ・ド・カンパーニュなどをシャンパンと。
エトルタを出てからなんだか気分が悪いと思っていたのだが、やはりかなり体調が優れない。
バターはボルディエ。
スズキのカルパッチョ、タヒニソース。
洗練されていて、エスニックでありつつも仕上がりはフランス料理。
サン・ピエールの下にはズッキーニのスパゲッティ風、マドラスカレーソース。
これも、カレーが程よく、すごく好み。
なのにああ、気分が悪くて胃が食べ物を受け付けない。
メインの鳩にいたっては写真さえ取り忘れた。
鳩続きであっても嬉しくいただける鳩と、モーという場所のトランペット茸の組み合わせ。
食い意地を振り絞って無理やり少し食べたが、やはり残してしまった。
美味しさに盛り上がって、ワインを追加し、チーズもプラスするような料理たちだったのに。
デザートはミルフィーユ。
体調が悪かったのが心の底から口惜しい。
ルーアン方面に行くならわざわざ寄るに値するレストラン。
どうしてもリベンヂしたい。
2部屋だけの宿泊施設も併設されている。
何かあるかと周りを散歩したが、小さな市庁舎と小学校以外は民家しかない。
すぐに村の外に出てしまい、放牧されている羊と出会う。
人を怖がることを知らない、幸せな羊たち。
何かくれるのではないかと近寄ってくる。
こんなところに週末の家があったら、素敵だろうなあ。
ノルマンディーは誇張でなく、そこらじゅうに牛が放牧されている。
白黒や茶色や白や、色々な牛が、たっぷりと生えた緑の草を食む。
塩気を含んだ草を食べた牛の乳が、チーズに最適なのだとか。
どうにか車を停められそうな場所を見つけてもらい、近づく。
やつらも幸せだから、人懐っこい。
こちらが怯むほどに近づいてくる。
その土地の風土を体験すると、そこで産出される食べ物への興味が深まる。
自分は特にフランス好きというのではないが、機会があってたびたび来ることになって、田舎に行くと、フランスの食糧自給率の高さや、それによる食の豊かさというのを実感する。
よく「東京はフランス料理もイタリア料理も本国より美味しい」と言う人がいるが、それには賛同しかねるといつも思う。
料理はその土地で取れる食材に根差しているし、ずっと食べてきた人々によって切磋琢磨されてきてもいる。
技術を習得することはできるが、環境までは輸入できない。
東京で食べるのとは別物であるし、やはり行って食べる意味があるんじゃないかと。