友達たちが食事をしていて、やたらそそられた曙橋の中華、敦煌。
7人で奥の円卓を囲む。
酸味が控えめなセロリ酢漬けからスタート。
筋が丁寧に除かれている。
お任せのコースのみだそう。
出されるものを食べる。
さあ、何をいただけるのかな。楽しみだ。
ニシンの酢ジメも、まったく小骨が触らない。
酢でシメたことで泥臭さがなくなり、旨味が凝縮されている。
野菜の湯葉巻き、辛子入りの胡麻ソースで。
中はモヤシやキクラゲやニンジン。
ほんのり辛さのある豚のガツ。
うっすらと湯通ししたようなアイスプラントとイカの和え物。
レモンの香りの華やかさが、タイのヤムを思わせる。
コリアンダーも。
半生のイカのやわらかいこと。
親指の先ほどの大きさの水餃子。
シナモンの香るタレで食べる。
タレには豚干し肉デンブが入っているような。
青梗菜花と鶏肉の炒め。
鶏肉の出汁がじゅわっと。
スペアリブは一度茹でてから揚げてあり、すんなりと骨から離れる。
しっかりと味が浸み、シナモンのようなスパイスの香りがある。
脂の多い部位であっても、軽やか。
海老と空豆とスナップエンドウの麻婆炒め。
ご飯をいただかずにいられようか。
待ってました!
ニラ麺!!
こんなに大量のニラを細かく刻んでいただき、ありがとうございます。
平たい麺に絡んだタレの甘辛ぶりも絶妙。
次の日にニラ臭くなってもかまわぬ。
このメンバーでは珍しく、デザートもフルで。
ここの料理ならなんだって食べたいのだ。
こういう胡麻団子でさえ、うなるものがあるのだから。
甘い芋的なもの。
中華のデザートは漢方の要素があって、腹に蓋をするようなことが少ない。
紅茶に金木犀の団子が入ったものの、全てにおけるバランスの良さに慄いたり。
温かいココナッツ汁粉はやっぱり好きだな。
なんて透明な料理たちだろう。
一切の雑味が取り払われ、過剰なものもなく、あるべくしてあるものたちが各々最大の働きを見せる。
くっきりとした輪郭。
それでいてどこか温かみのある料理。
みんなで円卓を囲んでいると、まるで中国の家族映画の中に紛れ込んだような気持になった。
これは、サービスを担当しているマダムの心遣いによるところもありそうだ。
今日いただいたものでもう一度食べたいと思わないものはない。