2019/01/30

ナポリ:Pizzeria Starita

ナポリに来るのは10年ぶり

この街には20年くらい前、7~8ヶ月滞在した。
東京でイタリア食材を今ほど手軽に買えなかった頃。
旅行で訪れたイタリアの食事や景色に夢中になって、1ヶ月フィレンツェに滞在して戻り、やっぱりもっと知りたくて、よりディープなイタリアを求めてナポリを選んだ。
イタリア語もほとんどできなくて、語学学校に通いながら、本場のピッツァや家庭料理を食べ続けた。
ナポリには中国人さえ少なくて、アジア人が珍しく、道を歩いていると目や口を開いて呆然と眺められたり、指さされたり、質問攻めにあったりした。

相変わらず街のゴミ箱は溢れ、人々は大声で途切れなく話をしているけれど、久しぶりに訪れたナポリでは、もうアジア人は珍しくない。
他のイタリアの街と同じように歩くことができる。

滞在していた時からの日本人の友達がまだナポリにいて、彼女たちと会うのも目的。
なのに、当時のフラットメイトで、食の好みの合う人がファスティング中。
一緒に飲み食いできないのは残念だけど、お店を教えてもらおう。

パリからローマ経由で夜着いたナポリ。
Piazza Belliniにあるホテルに荷物を置いて、すぐに友達推薦のピッツェリアに向かう。
あまり治安が良くない地区で、夜の一人歩きは止めたほうが良いとも言われた。
とはいえ近いので、様子をみながら行ってみる。

人気店で賑わってはいるが、ピッツェリアは回転が速いし、夕食の時間が遅いナポリでは、まだピークではないからか、するっと入れた。
水牛乳のモッツァレラのマルゲリータを頼む。

一口食べて、目を見張った。
まさに本場の本物だ。
程よく焼かれた生地は、弾力がありつつもサクッと歯切れよく、小麦が香る。
トマトソースはフレッシュなのに濃厚。
風味のしっかりとしたブーファラ。
要素それぞれが強く、だからこそ纏まっている。

東京にも美味しいピッツェリアはたくさんあるし、今回の旅行で食べた他の店のピッツァは「まあ東京のすんごく美味しいピッツァはこのレベルには達しているよな」と僭越ながら思ったけれど、ここStaritaのピッツァは、やっぱり本場だからこその、来なきゃ食べられない味だった。

ああ、自分はナポリに来たんだな。

奥に長い店内には、家族やカップル、友達同士などがひっきりなしに来る。
ポテトフライをのせたピッツァなどもある豊富なメニューの中から、好きなピッツァを頬張っていた。
「本物のピッツァはマルゲリータとマリナーラだ」とか、堅苦しく考えず、自分が好きなものを食べればいいんだ。

クラフトビールがあるのも嬉しかった。

この日はサッカーでナポリの試合があって、店員も客もテレビを観ていた。

この地区を抜けるまでは、いつも以上に早歩き。

中心地のテレビが設置された店では、みんなサッカーの試合に夢中。